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モヤモヤ考える男性

そもそも、空き家は売却できるのでしょうか?

都心部の空き家であれば売却できるでしょう。※空き家というか土地に価値があります。

 

しかし、住宅街だったり田舎の空き家や古民家は売却が難しいことがあります。

 

「家には資産価値がある」と思っている人もまだいますが、築年数が進んだ家屋にはほとんど値段がつきません。

 

家屋は建築してからどんどん値が下がります。

最終的には値がつかなくなります。

 

家の価値が上がるということはあり得ません。

※土地の値段が上がることはたまにあります。

 

不動産の価値は、駅からの遠さで決まるとも言われています。

信号機

駅から信号5つ以上離れている空き家であれば、ほとんど家屋の価値はありません。

日本の不動産評価は、10年で半値、20年で価値ゼロになります。

 

田舎の空き家だと土地の値段も安いため、土地と建物合わせてもほとんど価値がありませんし、そもそも買い手がつきにくいです。

 

土地の上に建っている空き家を解体して、更地にした方が売りやすいというは本当です。

 

ただし、その土地の売却値よりも解体工事費用の方が高くつくケースもあります。

空き家を売却してもマイナスになってしまうリスクもあります。

 

以下の条件に該当する空き家は、工夫しないと売却が難しいでしょう。

  • 駅から信号5個以上離れている
  • 不動産屋さんが近くにない
  • 駅からバスでないといけない
  • バスすら通っていない
  • 坂の上の丘陵地に空き家がある
  • 築30年以上の団地
  • 山や海や森林など自然に囲まれている

以上は、売却の条件があまり良くありませんので、工夫しないと売却は難しいでしょう。

高台の空き家は売りにくい

高台

昭和40年前後は、駅から少し離れた見晴らしの良い高台に家を建てることがステータスでした。

町並みを見下ろせるロケーションと、周りに障害物がない環境は、まさに「夢のマイホーム」だったのです。

 

しかし、今は時代が変わってしまいました。

昭和40年代にマイホームを高台に建てた人は70代を超えています。

 

駅から遠くて、高台にある家は帰るのに一苦労です。

特に、長い上り坂を上がるのは大変です。

 

こうした昭和40年代の高台に造られた家は、皮肉なことに現在は価値がありません。

審査が通らない

駅から遠いこと、家に帰るのに坂道を上がらなければならないことなどで、現在の不動産価値は皆無といっていいでしょう。

 

こうした家を売却するには工夫が必要です。

昭和40年代に高値で購入したという印象が強いと、なかなか売却値を下げる勇気がない人も多いです。

 

「買ったときはすごく高かったんだ」と言っても、それは50年も前の話。

今は値段を思い切って下げないと売却は難しいでしょう。

空き家を売却する方法

安売りする人

空き家を売却したい場合は、欲張らず安くすることです。

そもそも、つかっていない空き家には管理維持費、固定資産税、都市計画税だけがかかります。

 

手放せるだけでもメリットがあるわけですから、値段を安く設定しましょう。

ここでは儲けようと思ってはダメです。

 

ただし、値段を下げるということは不動産屋さんが仲介してくれない可能性が高まります。

 

不動産屋さんの不動産の売買の手数料は宅地建物取引業法で厳しく決められています。

  • 売買金額が200万円未満なら、仲介手数料は売買金額の5%
  • 売買金額が200万~400万円未満なら、仲介手数料は売買金額の4%+2万円
  • 売買金額が400万円以上なら、仲介手数料は売買金額3%+6万円

 

築年数が進んだ空き家が200万円以上で売れることは少ないです。

仮に100万円で空き家と土地を売却する場合、不動産屋さんの仲介手数料はたった50000円。

NGを出す男性

不動産屋さんはこの仕事はやりません。

事務処理にかかる労力と時間、移動費など含めると赤字です。

 

不動産屋さんが動いてくれない場合、次に考えるのは「空き家バンクの活用」です。

 

ですが、空き家バンクは行政が行っているサービスです。

行政がやることですので、民間企業のサービスとは質が違います。

 

空き家バンクで空き家を売却できる人もいますが、デメリットや不都合もあります。

詳しくは『空き家バンクのメリットとデメリットとは?成功事例や失敗事例』を読んでみてください。

空き家を売却する最終手段は直接売買

住宅街

不動産屋さんが相手にしてくれなくて、空き家バンクに掲載したけど音沙汰がない場合は、直接売買しかありません。

 

ご自身の空き家がもっとも売れる確率が高いのは『隣の家』です。

 

隣の家は敷地が広がるメリットがあります。

駐車場スペースにしたり、小屋や倉庫を置いたり、庭にする人もいます。

かなり安い値段であれば取引成立になる可能性もあります。

 

隣の家が買ってくれなかったら、次は『近所の人』です。

近所の人は駐車場スペースにしたり、倉庫や物置にしたりと活用方法があります。

これもかなり安くすれば買ってくれる可能性が出てきます。

ガッツポーズをする男性

「絶対売る!」と決めれば売却金額は気にしていられません。

手放すことで固定資産税、都市計画税、維持管理費を払わなくていいことに大きなメリットを感じているのであれば、売却の値段は「売れるまで落とす」のが良いです。

 

つまり、「1万円」「1000円」とかでも良いということです。

最悪の場合は「1円」も視野に入れましょう。

 

「空き家が売れない」と言う人の多くは、売却希望金額が高すぎることが大きな要因です。

※もちろん、0円にしても売れない空き家もありますが。

一円玉

本当に1円で空き家と土地を売る人もいます。

ここまで割り切れれば空き家を売却できる可能性は高くなります。

直接売買の注意点

不動産屋さんを介さず、空き家を直接売買をするときは、売買契約書が必要です。

契約書

絶対に口頭での売買をしてはいけません。

後でトラブルにある危険性があるので、やめておきましょう。

 

契約書の中に折り込む内容で大切なのは、

  • 売主が完全所有権を譲渡することを保証する
  • 買主は建物の瑕疵(傷などの不具合)があっても売主に責任追及しない

の2点です。

 

特に「買主は建物の瑕疵(傷などの不具合)があっても売主に責任追及しない」は、契約書に明記しておかないと後でトラブルになります。

 

「給湯器が壊れている」「電気がつかない」「トイレが流れない」「床がきしんでいる」など、売買後に言われてトラブルになるのは避けなければいけません。

 

もちろん、こうした不具合は売買前に買主に見てもらうのが一番です。

また、悪意なく売主が空き家の不具合に気付かない場合もありますので、契約書には必ず「買主は建物の瑕疵(傷などの不具合)があっても売主に責任追及しない」と明記しましょう。

お金

代金の支払い方法は現金一括払いが最も良いです。

※空き家によっては、現金一括払いできるくらいの金額でないと売れません。

 

やらないとは思いますが、ローンと分割払いは個人間売買では厳禁です。

トラブルのもとになるので、現金一括払いをおすすめします。

 

もちろん領収書は必要ですが、個人売買に収入印紙は不要です。

引き渡しは家の鍵を渡せば完了です。

 

登記は買主が行うのが一般的です。

司法書士に頼んで登記変更すると間違いがなくて安心です。

空き家を直接売買できる条件

チェックシート

空き家と土地を直接売買できる条件をご紹介しておきます。

  • 抵当権がない
  • 借地、借家ではない
  • 家屋の再建築が可能な状態
  • 現金一括払いで売買すること
  • 売買金額が低額であること
  • 所有者が共有名義でないこと、1人であること
  • 売買には代理人を挟まず、売主と買主が直接話ができること
  • 売主と買主に信頼関係があること
  • 相続登記が実態と合っている
  • 売買は家屋と宅地だけで、農地は含まない
  • 土地の境界線がはっきりしている
  • 想定外のトラブルが起きたときに、双方に問題を解決できる相談相手が複数いること
  • 買主がその地域のことをよく知っている地元の人であること
  • その他不安点がないこと、不安点が出てきても解決できること

 

以上が条件となります。

どれか該当しないものがあれば、個人間の直接売買は注意が必要です。

 

該当しない部分を解決してから直接売買することが大切です。

後でトラブルになるのを防ぐためです。

空き家を売りたい人と売りたくない人で意見が分かれてしまう

家に帰りたい老夫婦

例えば、親が老人ホームに入って実家が空き家になると、親はいつかまた家に帰りたいという気持ちから「家を売りたくない」と言うことも多いです。

 

また、「先祖代々の土地を売るなんてとんでもない!」という人も多いです。

 

これは親や親族だけでなく、兄弟の中にもそういう意見の人がいることもあります。

「思い出の実家を売るなんて、何を考えているんだ!」と兄弟から言われることもあります。

 

こうして意見が分かれるケースでは、空き家を管理する人が「売りたい」と言い、管理をしていない人が「売りたくない」ということが多いです。

モヤモヤする人

実際に空き家を管理している人の苦労を、管理していない人はわかっていないこともあります。

※「そんなに売りたくないなら自分で管理もして、固定資産税も払ってよ」と言いたいところですが…。

 

親戚が口を出してくることもあります。

「長男なんだから家を守っていかないと」

「売るなんて言ったら死んだおじいちゃんがなんて思うか…」

「見損なった」

など、あれこれ横やりが入ることもあります。

悪口を言う人たち

地域によっては近所の人まで口出ししてくることも(^^;

※これも「そんなに売りたくないなら自分で管理もして、固定資産税も払ってよ」と言いたいところですね…。

 

念のため言っておきますが、空き家をどうしようと所有者の自由です。

 

近所の人は、空き家を売却することでよそ者が引っ越してくるのが嫌だという声もあります。

 

特に本家の売却は反対意見が多いです。

親族は本家を一族で保有している感覚があるため、反対の声が起きやすいです。(もちろん登記上は関係ありません)

 

反対する人は反対するだけで管理を手伝ってくれたり、代替案を出してくれないことが多いです。

 

また、空き家の所有者が共有名義の場合は、名義者全員の同意がないと売却はできません。

 

名義者の中に1人でも「売りたくない」という人がいたら売却はできません。

ここで意見がまとまらず、空き家が塩漬け状態になってしまう人が多いです。

仏壇が気になって空き家を売れない人も…

仏壇

空き家を売れない人の理由に「仏壇があるから」というものがあります。

仏壇を動かすときはお寺さんに来てもらって「魂抜き」という儀式をするのが一般的と言われています。

 

しかし、仏壇で大切なのは掛け軸、彫像、位牌で、それは丁寧に運び出して保管すれば大丈夫という説もあります。

正直「魂抜き」はあまり必要ないというお寺さんもいます。

 

どうしても気になる場合はお寺さんに頼んで「仏壇仕舞い」という名目でお経を読んでもらうと良いでしょう。

 

地域によりますが5000円~10000円程度でやってくれます。

※仏壇仕舞いで高額を請求してくるお寺もあるので、ご注意を。

空き家を売却するときは家財整理が必要

空き家を売却するときは、当然家の中のものは片づけなければいけません。

この片付け、家財整理が思ったよりも労力と時間がかかります。

思い出のものを捨てられない

アルバム

実家の整理をしていると懐かしいものばかり出てきます。

なかなか思い出のものを捨てられない人は多いです。

 

結局、ほとんど家財の整理ができない人もいます。

「どうしても必要なものだけ残して、あとは捨てる」と決めないと家財整理は進みません。

 

実家を整理していたらアルバムがたくさん出てきて、見ていたら夜になっていたという人も多いです。

誰のものかわからないものが出てくる

?の男性

これはけっこう困ります。

特に、家族のものでなさそうなものは捨てるに捨てられません。

 

勝手に捨てて、後で「必要なものだった」となると怖いものです。

こういうものはひとまず保管しておくしかないでしょう。

 

さらに年月が経ったときに処分するという方法もあるでしょう。

高価なものが出てくる

通帳

これもけっこう困りますね。

現金、指輪、骨董品、株式、通帳、投資信託、国債など債券の証書、ゴルフ会員権などは処分するというわけにもいきません。

 

特に、相続後の空き家の家財整理だと、相続財産になりそうな高価なものが出てくるとまた遺産分割協議が必要です。

 

ないと願いたいですが、タンス預金など現金が出てきたときに懐に入れてしまう兄弟がいることも…。

家財整理は親への配慮も大切

仲の良い老夫婦

家のものを捨てるときは親への配慮も大切です。

 

「これいらないから捨てるよ」というと「捨てないで」という親は多いものです。

ただ、それだとなかなか片付けが進みません。

 

「使いやすくなるよう整理するからね」「転んで、ぶつけて怪我しないように整理するね」など、親への言葉遣いに配慮するとスムーズに進むこともあります。

家財整理業者も有効

信頼できる業者

有料ですが家財整理業者に手伝ってもらうことで、実家の片づけはスムーズに運びます。

 

信頼できる家財整理業者であれば、捨てる捨てないの判断も確認を取りながら進めてくれます。

 

ただし、高価なものが出てきたときにこっそり懐に入れてしまう悪徳家財整理業者もいるため注意してください。

空き家を売却したときの税金には3000万円の特別控除がある

法律

平成28年に「空き家を売却と3000万円の特別控除」の新税制が可決・成立しました。

空き家を売却した場合の譲渡所得から3000万円を控除してくれる新税制です。

 

空き家に住んでいる必要がなかったり、メリットのある制度です。

※確定申告の際に申告します。

 

ただし、二次相続でないと適用されないことや、マンションでは適用されないこと、家屋を解体してから売却する必要があるなど条件もいくつかあります。

解体工事

特に「家屋を解体してから売却する必要がある」ことがあるので、解体費用がかかることや、売却できるまでは固定資産税が6倍になってしまうデメリットもあります。

 

自治体によってはこうした所有者のデメリットを減らすため、解体工事費用を一部補助してくれたり、固定資産税が6倍になるのを猶予してれるところもあります。

 

「空き家を売却と3000万円の特別控除」については、一般社団法人相続ファシリテーター協会の「空き家の相続の問題!売却や活用の税金控除や放棄後の管理義務」が参考になるので、読んでみてください(^^)

まとめ

費用

空き家を売却するときは、売却金額がもっとも重要です。

あまり欲張らないのが売却のコツです。

 

そして、空き家の近所が最も買ってくれる確率が高いです。

不動産屋さんに相手にされない空き家や、空き家バンクに掲載しても効果がない場合は、直接売買を検討しましょう。

 

また、不動産屋さんが扱ってくれるような空き家であれば、譲渡所得から3000万円控除してくれる税制があるので有効活用しましょう。

 

ただし、空き家を解体しなければならないため、慎重な判断が必要です。

 

そもそも空き家を手放せるだけで大きなメリットがある人は「売る」ということに集中した方が良さそうですね。

 

あなたの参考になればうれしいです(^^)