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空き家を売却したい、賃貸に出したいという場合に、自治体が運営する「空き家バンク」を利用する方法もあります。
空き家を売却したい、活用したい人にとっては、自分の空き家の情報を外に向かって発信することができます。
日本のどこかに自分の空き家を欲しがる人がいるかもしれません。
空き家バンクに登録することで、空き家を欲しがる人に見てもらえるチャンスが生まれます。
空き家を買いたい人や、賃貸で入りたい人が出てくれば自治体がマッチングしてくれます。
自治体が空き家バンクを運営するメリットは「人口が増えること」です。
外から人が移住してきてくれれば、税収が増えますからね。
空き家を探している人にもメリットがあります。
空き家バンクには、HOMESやSUUMOに載っていないような物件情報が載っていることがあります。
掘り出し物物件を見つけられる可能性もあるのです。
また、田舎の物件や古い空き家も多いですから、物件価格や賃料が安いことも多いです。
田舎暮らしをしたい人にとっては、安い価格で掘り出し物物件を見つけられて田舎暮らしをできるメリットがあります。
ただし、空き家バンクを利用することでトラブルになることもあります。
空き家バンクのメリットとデメリット、成功事例や失敗事例をご紹介しますね(^^)
空き家バンクの成功例・先進事例
空き家バンクの成功事例をご紹介します。
東京でWebサイト制作の仕事をフリーランス(個人事業主)でやっていたAさんは「田舎暮らしをしたい」と思っていました。
Aさんの仕事はパソコン1台あればできるため、どこでも仕事ができます。
Aさんは東京都内の賃貸マンションに暮らしていたのですが、家賃が高いと思っていました。
どこでも仕事ができるため、正直東京に暮らし続ける理由もありません。
Aさんは空き家バンクを検索して、自分が住みたい田舎の物件を探し始めました。
なんとも懐かしい雰囲気の賃貸物件の古民家を見つけたため、さっそく空き家バンクに問い合わせ。
実際にその賃貸古民家の内見を行い、Aさんはその古民家に住むことにしました。
Aさんはかっこよくておしゃれなホームページを、田舎の田園風景の中にある古民家で作る毎日を送っています。
空き家バンクのデメリットとは?
営利目的のHOMESやSUUMOなど物件情報サイトは「買ってほしい」「借りてほしい」ですから、物件の詳細な情報もサイトに掲載されています。
ところが、地方自治体が運営する空き家バンクは非営利ですから、物件の詳細情報は載っていないことも多いです。
結局「直接見てみないとわからない」というのが現実です。
使い勝手が悪いということですね。
また、直接物件を見に行ったとしても建築物の専門家でもない限り、目に見えない部分がどうなっているかはわかりません。
実は、軒下にシロアリがいっぱいいて躯体部分を食い荒らしている、実は雨漏りしている、実は給湯器が壊れている、実は風呂が壊れているなど、物件の内見だけではわかりにくい不良個所もあります。
空き家バンクは自治体が非営利でやっているマッチングですし、不動産屋が仲介しない分、売り手と買い手の直接交渉になります。
※自治体は交渉には不介入です。
不動産屋さんが絡まないということは、いわば「素人と素人の不動産交渉」ということになり、とてもリスクが高いです。
契約書はどうするのか、後でトラブルが出て来たらどうするのか、言った言わないで揉めたらどうするのか、など素人がやるにはハードルが高いです。
それでも空き家バンクを利用するかです。
また、空き家バンクに登録している田舎の空き家は、不動産屋さんが手を出さない物件が多いです。
田舎の空き家は不動産屋さんにとっては「お金にならない物件」です。
物件としての魅力が乏しく、買い手や借り手がつきにくい不良物件もあります。
空き家の所有者は、売りたい・賃貸に出したいという場合、まずは不動産屋さんに相談します。
ですが、不動産屋さんに相手にしてもらえなかった物件が空き家バンクに流れ着くという現実は多々あります。
「訳アリ物件」の可能性もあるからです。
空き家バンクの問題点は利用率が低く、売買や賃貸事例が少ないこと
例えば、実家が空き家になったので、売却するなり賃貸に出すなりしたいとしましょう。
そうなると、まずは不動産屋さんに相談します。
「この空き家を売りたいor賃貸に出したいのですが…」と不動産屋さんに話を持っていくと、けっこうな確率で断られます。
また、何とか売りや賃貸に出してくれたとしても、全く借り手も買い手もつかないことがほとんどです。
不動産屋さんも買い手や借り手を見つけることができず、そのまま放置物件になってしまいます。
特に、田舎の空き家は何もできないことが多いんです。
不動産屋さんは田舎の空き家の売買や賃貸は、正直儲からないんです。
特に田舎の空き家を賃貸に出すと、家賃はどうしても低く設定しないと借り手がつきにくいです。
家賃が低い物件は借り手がついたとしても、仲介手数料が安いため不動産屋さんにはあまりうまみがありません。
売買も同様です。
不動産の売買の手数料は宅地建物取引業法で厳しく決められています。
- 売買金額が200万円未満なら、仲介手数料は売買金額の5%
- 売買金額が200万~400万円未満なら、仲介手数料は売買金額の4%+2万円
- 売買金額が400万円以上なら、仲介手数料は売買金額3%+6万円
となっています。
空き家の売却値はほとんどが200万円未満でしょう。
仮に空き家が100万円で売れたとしましょう。
不動産屋さんに入る仲介手数料は100万円×5%で、たったの5万円です。
売買に割いた時間、労力、移動費などを考えると赤字です。
これでは商売になりません。
同じ時間と労力を割くのであれば、もっと都市部の高い物件の売買をした方が儲かります。
そのため、空き家の売買や賃貸は不動産屋さんに嫌われるのです。
そうなると次に駆け込むのが、地方自治体でやっている「空き家バンク」です。
空き家バンクに空き家の情報を掲載してもらい、空き家を貸すなり、売るなりしたいとしましょう。
ところがこの「空き家バンク」はほとんど機能していません。
空き家バンクのホームページに空き家の情報は掲載されますが、その後何の音沙汰もないのが現実です。
空き家バンクの利用率は思ったより少ないのです。
例えば、HOMESやSUUMOなど超大手の不動産情報の掲載サイトは、多額の投資をしてwebサイトを作っています。
ホームページのきれいさ、見やすさ、物件の探しやすさ、物件の詳細な情報まで、サイトを見る人のことを考えて作られていますよね。
ところが、空き家バンクのwebサイトを見てみてください。
スーモやホームズとはかけ離れたサイトと言っていいでしょう。
見づらい、わかりにくい、検索しにくい、詳細が載っていないなど、とにかく使いづらいです。
これでは、本当に地方部で物件を探している人が「わかりにくい」という理由で帰ってしまうことも多いです。
それもあって利用率が低いのです。
空き家バンクが機能していない理由の1つが「担当職員さんが少ないから」です。
市町村の役場の空き家対策の課に行ってみてください。
空き家対策課の担当者さんは、少なくて1人、多くて3人程度です。
※中には空き家対策課がない自治体もあります。
また、他の課の仕事と兼任者も多く、空き家対策に市町村が本格的に取り組めていないのがよくわかります。
「空き家が問題なのはわかっているけど、他の業務もあるし、そこまで手を割けない」というのが現実でしょう。
実際に空き家対策課に行って相談してみても、空き家バンクのホームページに掲載して終了というのが現実です。
その後、売れたり、借り手がつくことはほとんどありません。
事実、自治体の7~8割が、空き家バンクで売買が成立するのが年間10件未満だそうです。
また、担当者が少なければ、当然空き家バンクのホームページの質が向上されることはないでしょう。
空き家対策課は新設部署のことが多いです。
空き家対策課の職員さんも空き家のことに詳しくない人が多いです。
兼任で空き家対策課を担当している人であればなおさらです。
また、空き家対策特別措置法ができてまだ数年しか経っておらず、市町村までその具体的な対策方法や動きの情報が下りてきていないという現状もあります。
そのため、空き家対策課はあるものの、ほとんど何もできない自治体も多いです。
また、空き家対策課の担当者も3年も経てば他の課へ異動になるため、また新しい職員さんになり、空き家の知識も相談対応もゼロからスタートになります。
これでは市町村で空き家対策をできるとは考えにくいでしょう。
空き家バンクは、自治体の担当者がやっていることもあり、不動産についての細かい知識がなかったり、自治体は仲介をすることができないこともあり、地域の不動産業者と連携して対応しています。
空き家バンクのサイトを見て空き家の賃貸、買いたいなど問い合わせがあった際は、地元の不動産業者が対応します。
ただし、前述の通り、不動産業者さんからすると空き家は儲からない物件です。
あまりやりたくないというのが不動産業者さんの本音のため、空き家バンクに登録したけどまったく動きなしの物件が多くなります。
空き家バンクの失敗事例・トラブル
実際にあった、空き家バンクの失敗事例・トラブル事例です。
ずっと東京で仕事を続けてきたBさんは、定年退職後に田舎暮らしをしたいという夢がありました。
Bさんは空き家バンクを利用して、理想の古民家風の空き家を見つけました。
「実物を見てみたい!」と思い、その自治体に連絡。
7月に空き家の内見に行きました。
そのときは自治体の空き家対策課の担当者と、地元の不動産業者が同行してくれました。
築70年ほどの古民家風の空き家で、窓やふすまを開け放つと、真夏にも関わらず過ごしやすい室内でした。
心地よい風、草木の音、鳥のさえずり、田舎独特の草木や土の香りがして、都会でずっとがんばってきたBさんにはとても魅力的に見えました。
この古民家の価格は1000万円。
Bさんは退職金でこの古民家を買おうと考えていました。
Bさんは「1000万円でこんな歴史的な古民家が購入できるならぜひ買いたい!」と思い、この物件を購入しました。
ほぼ即決でした。
定年退職後にBさんは購入した古民家に移り住みました。
ところが、色々とトラブルが出てきました。
まずは給湯器が壊れており、お湯がでませんでした。
内見をしたときは問題なかったのですが、入居したときには壊れていました。
給湯器を直す費用がかかりました。
また、雨漏りをしていることも発覚。
調査をしてもらったところ、木材が腐りかけているところがあり、それを補修する工事に高額の費用がかかりました。
そして、何よりきつかったのが冬です。
築年数80年の古民家で、壁と床と天井に断熱材が入っていませんでした。
東京で長く暮らしてきたBさんは、当たり前のように断熱材が入っていた住まいに暮らしていたため、断熱材まで気が回りませんでした。
また、壁や窓ガラスに隙間があるのか、石油ストーブをガンガン炊いても全然室内が暖かくなりません。
灯油代はかなり高額になりました。
床も冷たく、冬ははだしではとても歩けません。
夜寝るときは、敷布団を3枚、毛布を3枚、羽毛布団2枚かけて寝ないと風邪をひいてしまいます。
ところが、布団をかけすぎているため布団が重く、よく眠れません。
「さすがに我慢できない」ということで、断熱材を入れる工事と床暖房を入れる工事をしました。
空き家購入後に想定外のリフォーム・リノベーションが必要なことも
もろもろのリフォームで、費用は1000万円ほどかかりました。
古民家の購入費用が1000万円、リフォーム費用で1000万円、合計2000万円かかってしまいました。
もちろん、リフォーム代1000万円はBさんにとって想定外です。
Bさんは老後の生活資金が1000万円減ってしまったことで、超節約生活を今も続けています。
憧れの田舎暮らしが、不便な田舎で老後を全く楽しめない貧乏生活になってしまいました。
東京や大阪など都心で仕事をしてきた人が、定年退職後に田舎に移り住みたいということは多いですが、こうした空き家のトラブルが起きています。
Bさんはどうすればこのトラブルにならなかったのか検証してみましょう。
1000万円もするような空き家や古民家の場合は注意してください。
本当に1000万円も価値のある物件かどうかを見極める必要があります。
一般的には、空き家で1000万円は高いです。
空き家バンクの怖いところは、空き家の所有者が特に根拠もなく価格を設定しているケースがあることです。
それを真に受けてそのままの価格で購入してしまう人がいます。
Bさんの事例のように、1000万円もした空き家で設備もガタガタ、さらに費用がかかってしまうぼったくり物件もあります。
そもそも「なぜこの空き家は売れ残っているのか?」を疑うべきでした。
また、古民家は夏に内見に行かないことをおすすめします。
旧日本家屋は夏涼しく過ごせるように造られています。
夏の古民家は快適に感じやすいのです。
問題は冬です。
古民家は冬かなり寒いことが多いですので、内見に行くなら冬がおすすめです。
古民家は「冬をどう乗り切るか」が勝負なのです。
しかも、この話には続きがあります。
Bさんが大損をしたということは、誰かが得をしているということです。
まずはこの空き家の元所有者です。
実際の価値よりもかなり高額で空き家が売れたことで、元所有者は相当儲かりました。
「こんなに高く売れると思わなかった!」と大喜びです。
空き家の維持管理費用や固定資産税もなくなり、万々歳です。
また、当然不動産業者も儲かりました。
1000万円の売買はなかなか良い物件です。
約40万円の仲介手数料を稼ぐことができました。
リフォーム業者も儲かりました。
高額のリフォーム費用がかかる古民家だったため、大きい工事を請け負うことができて儲かりました。
また、意外なのが自治体の空き家対策課の担当者もメリットがありました。
「当自治体でも空き家バンクの成功事例ができた!」ということで、人事評価が上がりました。
市長からも褒められて鼻高々です。
Bさんが大損をしたことで、元所有者、不動産業者、リフォーム業者、自治体の担当者が大喜びの結果になってしまいました。
空き家バンクにはこうしたトラブルになることもあるため、注意してください。
空き家バンクはどんな物件でも登録できるわけではない
空き家バンクはすべての空き家を登録できるわけではありません。
空き家バンクの担当者が現地調査をして、その審査に通らなければいけません。
老朽化が進んでいたり、傷みが激しかったり、解体するしかないようなボロボロの空き家は登録ができません。
むしろ、自治体に現地を見られてしまうため、下手をすると特定空き家と認定されてしまうリスクもあります。
「きちんと維持管理してください」「修繕工事をしてください」「解体してください」など言われてしまうと、かえってお金がかかります。
空き家バンクの登録手順
各自治体によって空き家バンクの登録方法は違いますが、大まかな登録手順をご紹介します。
- 空き家の情報、空き家の資料(図面や写真)、同意書、登録申請書、共有名義の場合は他の名義者の委任状、媒介契約書(不動産会社と契約済みの場合)を用意して自治体に提出します。
- 自治体の現地調査の結果、OKであれば空き家バンクに登録されます。
- 空き家バンクのホームページに情報公開
登録された情報が自治体の空き家バンクのホームページに掲載されます。
掲載される内容も自治体によって違いますが、おおよそは下記のような情報です。
- 売却か賃貸か
- 売却価格or家賃(所有者の希望額)
- 所在地(町名まで)
- 交通機関、アクセス方法
- 空き家の写真
- 間取り図
- 敷地利用図面
- 傷んでいる箇所、故障箇所、交換が必要な箇所
- リフォームや工事した場所
- 周辺施設
- 物件のアピール
これで空き家バンクに物件情報を公開して、問い合わせを待つということになります。
ただし、前述の通りなかなか問い合わせがないことも想定しておきましょう。
空き家バンクの補助金や助成金
自治体は空き家バンクへの登録物件を増やしたいという思いから、補助金や助成金を用意していることがあります。
補助金や助成金の内容は各自治体によって違うため、詳しくは空き家がある自治体の空き家バンクのホームページを見てみてください。
例えば、空き家バンクに登録した空き家の家財整理をする際の費用を自治体が一部負担してくれる補助金があります。
また、空き家バンクに登録した空き家をリフォーム・リノベーションする際の工事費の一部を自治体が負担してくれる補助金もあります。
空き家に住む人への補助金や助成金もあります。
市外から市内の空き家バンク物件に引っ越してくる人のための補助金を出している自治体もあります。
せっかく使える補助金や助成金は、後から気づいても遅いことがあります。
興味がある人は、必ず事前に自治体に確認してください。
空き家の売却の税制優遇
空き家を売却する場合は、条件にあえば譲渡所得(土地を売却した所得)の優遇税制の特例を受けられる可能性があります。
売却した所得から3000万円を控除してくれる優遇税制があります。
優遇税制の適用を受けるには申告が必要なため、事前に知っておきましょう。
詳しくは、一般社団法人相続ファシリテーター協会の「空き家の相続の問題!売却や活用の税金控除や放棄後の管理義務」が参考になります。
まとめ
空き家バンクはとても良い仕組みではあるのですが、現実はなかなか機能していないというデメリットもあります。
空き家が社会問題にはなっていますが、まだ解決できる体制になっていない現実があります。
自治体も一生懸命やってくれているのですが、人手不足やノウハウ不足でうまくいっていないところが多いです。
空き家バンクのメリットとデメリットを知った上で慎重に検討しましょう。