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空き家を管理せず放置しておくと近隣住民から直接クレーム電話が入ることがあります。
なんと、同級生の名簿などをたどって電話してくる人もいます。
「おたくの空き家が倒壊しかかっていて危険だからなんとかしてほしい」
「庭の草が生えすぎてうちの敷地にかかっている」
「空き家から大量の虫が発生していて困っている」
「空き家から異臭が発生しているので、なんとかしてほしい」
「おたくの空き家にホームレスが住み着いているみたいで怖いです」
などなど。
実際に、こういう空き家の隣に住んでいる人はたしかに迷惑ですよね。
不動産の所有者は適切に不動産を管理する義務があります。
民法717条の土地工作物等の所有者責任、建築基準法8条の建築物の所有者責任です。
空き家を管理せず放置しておくと、クレームが入り対処せざるを得ません。
放っておいた空き家を何とかするにはかなりの費用がかかります。
放っておけば放っておくほど、費用がかかります。
庭の草は伸び放題、庭木は枝を伸ばし放題、空き家の中はカビとシロアリとネズミだらけ…となれば、これを何とかするのはけっこうな費用がかかるのは容易に想像できますよね。
空き家の維持管理費は年間40~60万円
年間の空き家維持管理費用の平均は40~60万円かかります。
固定資産税、修繕費用、自治会費、庭の管理費用、往復の移動費などがかかります。
- 固定資産税:年間数万~数十万円
- 修繕費用:年によるが数十万円~数百万円
- 自治会費:年間数千円~1万数千円
- 庭の管理費用:年間数万円~数十万円
- 往復の移動費:距離によるが年間数万円~数十万円
というところでしょう。
人によっては空き家管理費用が100万円を超える年もあるでしょう。
特に売却する予定もなく、賃貸に出す予定もなく、リフォームする予定もない「放置空き家」であれば、お金を捨てているのと同じです。
※少々乱暴な言い方ですが、現実そうなってしまっている人が多いです。
全部を自分で管理しようとすれば、移動費と労力と時間がかかります。
貴重な休日に、時間と労力とお金をつかって空き家を管理しています。
空き家管理をしている人の多くは50~60代です。
親が80代で亡くなって実家の空き家を相続した人たちか、親が介護施設に入っていて実家が空き家になっているという人が多いです。
50~60代で肉体労働である空き家管理を継続するのも大変です。
外部業者に依頼すれば管理は楽ですが費用がかかります。
例えば、庭師さんに頼んで庭木の剪定をしてもらうと、日当で2~3万円かかります。
けっこうしますよね。
不定期でかかる修繕費用は本当にヒヤヒヤします。
天気予報を見て「台風です」「爆弾低気圧です」「大雪です」と言われれば、空き家の所有者は気が重くなるものです。
「あぁ…、またお金がかかるのか…」
「瓦が飛んで近隣住宅を傷つけていたら弁償しなければならない…」
など、心配はつきません。
こうしたことが3年も続くと、多くの人は疲れてしまい何も管理しなくなります。
体力的にも、精神的にも、金銭的にも限界がやってきます。
毎年かかる固定資産税も頭が痛いです。
正直、使ってもいない空き家に対して固定資産税を払い続けるのは厳しいですよね。
売りたくてもなかなか売れません。
空き家バンクはうまく機能していませんし、不動産屋さんは田舎の空き家は相手にしてくれません。
「自治体に寄付したい」と思っても自治体は寄付には応じてくれません。
地方自治体にとって、固定資産税は大きな税収です。
寄付なんかされてしまったら大事な固定資産税が入らなくなってしまうため、自治体は寄付には応じてくれないのです。
空き家を放置するとどうなるの?
仮に空き家を管理せず、ずっと放置しておいたとしましょう。
時間の経過ととも空き家に何が起きるかをご紹介します。
5日目:室内の空気が重くなりカビ臭くなる
窓を閉め切った空き家は空気の流れがなくなり、空気が重くなります。
これは湿気がこもりやすくなることが原因です。
湿気がこもるとすぐにカビが生えてきます。
空き家でなくても長期の旅行で家を空けていた場合、旅行から帰ってくると家の中の空気がムッと重く感じることがありますよね。
あれは湿気と化学物質で空気がよどむことが原因ですが、同じことが起きます。
最初の冬:窓ガラスや床下に結露が発生
冬になると、閉め切った空き家内の気温と外気温に差が出て、窓ガラスに水滴ができます。
これがサッシに落ちていってサッシを劣化させていきます。
また、結露の発生で室内の湿度は高くなります。
床下にも結露が発生します。
木材の最大の敵は「水」です。
湿気や結露は、空き家の柱、梁、床、床下など重要な構造部にダメージを与えていきます。
4月:固定資産税の納付書が送られてくる
4月に固定資産税の納付書が送られてきて、気が重くなります。
5月頃:庭の草が伸びてくる。ツバメが軒先に巣を作る。
桜が散った後くらいから、庭の草木がどんどん成長を始めます。
青々とした雑草が庭に元気よく生えます。
また、ツバメが軒下に巣を作ります。
ほほえましい光景のようですが、とんでもありません。
ツバメは巣の下に向かって糞をします。
糞をするとそこに虫が集まってきます。
6月:梅雨の湿気。庭の草木が雨で成長する。ヤモリがやってくる。
梅雨に入ると湿気は一気に加速します。
気温も上がってきますので、空き家の室内はかなり蒸し暑くなります。
これがカビの繁殖と、シロアリを呼び寄せます。
シロアリは空き家の柱、梁、天井、床下などの木材を食べ始めます。
庭の草木が梅雨でどんどん生い茂ります。
草木が成長することで、虫が暮らしやすい環境になりどんどん虫が発生します。
虫が発生するところには虫を捕食する動物がやってきます。
鳥やヤモリなどです。
鳥やヤモリは空き家の敷地内に糞をします。
動物の糞にまた虫が集まり、それを求めて動物が集まるという悪循環に入ります。
特にヤモリは、薄い体を上手に使って空き家の中に侵入してきます。
そして、空き家の中でも糞をします。
糞には雑菌が含まれているため、それが室内の湿気とあいまって異臭を放ち始めます。
そこに虫が集まり、ついに空き家の中にも虫がわきはじめます。
糞尿を含んだ水は、普通の水の100倍のスピードで家を傷めていきます。
7月:昼と夜の寒暖差で結露が発生。カビの繁殖が進む。シロアリも元気。草木も成長する。
いよいよ夏到来。
夏の太陽を浴びて庭の草木がどんどん生い茂ります。
昼間の真夏の気温から夜に気温が少し落ちることで空き家内に結露が発生します。
これでカビの繁殖は一気に進みます。
シロアリも湿気が大好きなので、元気よく空き家の木材を食べていきます。
ちなみに、シロアリは隣家まで移動するため、隣家もシロアリの被害に遭ってしまいます。
8月:スズメバチが軒先に巣を作る。庭の草木の成長は最高潮。
運が悪いとスズメバチが巣を作り始めます。
スズメバチは近隣住民にも被害をおよぼします。
夏の太陽を浴びて、庭の草木の成長は最高潮に達します。
人の慎重よりも高く成長する草もあります。
このあたりで近隣からのクレームが入り始めます。
もちろん、室内の湿気も最高潮です。
秋:台風で瓦がずれる。
台風の到来で瓦がずれることがあります。
こうした隙間から雨水が入り、雨漏りにつながります。
天井裏に雨漏りが発生すると、湿気と結露が発生します。
天井裏にもカビとシロアリが発生して、空き家を傷めていきます。
初冬:落ち葉が雨どいに溜まる
落ち葉が雨どいに溜まることで、屋根から流れてくる雨水をせきとめます。
行き場を失った雨水は空き家のわずかな隙間から浸水します。
これも雨漏りの原因になり、湿気と結露が発生。
カビの繁殖とシロアリの繁殖につながります。
冬:屋根に雪が積もり雨漏りを進行させる
雪国では屋根の上に雪が積もり、そこから浸水してさらに雨漏りがひどくなります。
さらに湿気と結露が進みます。
また、寒さと雪の重みで瓦が割れることがあります。
瓦の割れ目からも浸水して、これも雨漏りの原因になります。
その後:庭の草が密生してくる
庭の草は生え放題です。
空き家の玄関に行くのにも草をかきわけて進んでいくこともあるでしょう。
誰が見ても立派な「放置空き家」に見えます。
近隣からの苦情もどんどん来ます。
台風や爆弾低気圧で瓦やトタンが飛んでいく
強風でトタンや瓦が飛んでいきます。
これが近隣住宅に当たって損壊させてしまうと損害賠償になります。
また、瓦やトタンが飛んでいくことで、雨漏りがひどくなったり、空き家内に動物が侵入しやすくなります。
このころには当然行政から「特定空き家」として認定されて、行政から「きちんと管理しなさい」と連絡が入ります。
倒木の危険性
庭に生えている木が大きくなりすぎると、強風で倒木する恐れがあります。
これが隣家や隣家の車を損傷させてしまうと損害賠償です。
空き家に人が侵入する
放置空き家は誰が見ても「これ誰も住んでないな」と一目でわかる空き家になります。
明らかな空き家だと人が侵入します。
ホームレスが住み着いてしまうことがあります。
ホームレスの人にとってみれば空き家は「タダで住める家」です。
冬場に雨風をしのげて暖をとれる場所はありがたいものです。
空き巣が入って家財を盗んでいくこともあります。
また、地元の中学生や高校生のたまり場になることもあります。
不良グループが隠れてタバコを吸うには好都合の場所のため、不良グループの喫煙所になってしまう可能性もあります。
また、犯罪グループのアジトになることもありますし、麻薬売買の場所にされてしまうこともあります。
TVドラマみたいな話ですが、本当の話です。
このようになってしまうと近隣住民はとても怖いもので、苦情が入る原因になります。
また、明らかな空き家は放火の対象になりやすいです。
放火犯は空き家を見つけると放火したくなるようで、火をつけられてしまうリスクがあります。
もし放火されて、隣家の住人が逃げ遅れて死亡してしまうようなことがあれば、責任をとりきれません。
空き家内に動物が侵入
空き家内に動物が侵入してきます。
まずはネズミが侵入してきます。
ネズミは寒さに弱いため、空き家の中は冬を越すのに良い環境のためです。
ネズミが入ってくるということはそれを狙うネコ、イタチ、ハクビシンも入ってきます。
「猫は人目につかないところでひっそりと死ぬ」と言われますが、空き家が猫の死に場所になることも多いです。
また、ハクビシンは糞の塔を作り、悪臭を放ちます。
また、コウモリの寝床になることもあり、大量の糞をします。
これも悪臭の原因になります。
近隣住民からも異臭のクレームが入ります。
ネズミは隣家にも食べ物を求めて移動するため、隣家から猛烈な苦情が入ります。
外壁が壊れる
ついに外壁が壊れて大きな穴が開きます。
こうなると人も動物も侵入し放題です。
また、庭の草木が空き家内に入り始めます。
それに伴って虫の侵入も容易になります。
見るからにボロボロの廃墟となります。
シロアリが家を倒壊させる
シロアリが空き家も木材を食べ続け、ついに柱や梁が折れます。
こうなると空き家は原型をとどめなくなり、倒壊します。
このとき近隣住民や通行人にケガをさせてしまい、損害賠償に発展することもあります。
自然に還る
最終的には植物やコケが空き家を多い、自然に還ります。
ここまで約70年ほどかかります。
空き家の問題は未然に防ぐ
空き家問題は未然に防ぐことが大切です。
問題が大きくなってからだと、解決のための費用も時間も労力も膨大になります。
例えば、シロアリ被害を受けている空き家のシロアリ駆除とリフォームだけで数百万円かかります。
ちなみに、ボロボロの空き家の隣の家は不動産価値は落ちます。
例えば、ボロボロの空き家のお隣さんが自宅を売却しようとしても「隣の空き家がボロボロだから」という理由で売却値が下がってしまいます。
これは相当お隣さんに迷惑がかかります。
家にとって最大の敵は水
空き家を劣化させる最大の原因は「水」です。
空き家内の水気や湿気を防ぐには、空気を動かしてあげることが大切です。
狭い隙間などを極力作らないことで、空気の動きを作ってあげることで湿気や水気の予防になります。
空き家内にはできるだけ物を置かないようにしましょう。
物を片付けるのは大変なので、片づけ業者に頼むのが効率的です。
空き家内の襖や戸は開け放つか取り外しておきましょう。
また、家財や荷物は部屋の真ん中に置いておきましょう。
畳はすべて上げておきましょう。
特に1階の畳はカビやすいです。
布団もなくしておきましょう。
空き家に行ったときは扇風機で空き家内の空気を動かしましょう。
また、カーテンを開けて温度差を作ることでも空気の流れを作ることができます。
床下はもっとも湿気がたまりやすく、空き家を足元から傷めていきます。
費用はかかりますが、床下の換気装置を設置することも検討しましょう。
これをすることでだいぶ床下の湿気を防ぐことができます。
床下の湿気はカビとシロアリの発生につながり、空き家の劣化を早めます。
庭の草対策
空き家の維持管理のもっとも現実的な問題は雑草の処理です。
春になると雑草が生え始め、梅雨になると雨でどんどん伸びていきます。
それが夏の太陽を浴びて一層伸びていきます。
秋になると種が飛んで春に芽吹く・・・その繰り返しです。
雑草は放っておくと年々大きく太くなっていきます。
次第には人の背よりも高くなり、歩けないほどになります。
草刈りを続けるのはもっとも不効率です。
草刈り業者に頼む方法もありますが、日当で1人1万円はかかります。
複数人数でやってもらって、年に2~3回頼むと年間10万円を超える費用がかかります。
ちなみに、庭木の剪定もすれば費用は倍以上かかります。
庭の草が生い茂らないために、除草剤を活用しましょう。
除草剤はまくときは、長期間効果のあるものをゴールデンウィーク前に撒くようにしましょう。
夏場は草の成長が著しいですが、その雑草が生えること自体も抑えることができます。
庭に塩をまくのは簡単だが要注意
もっとも労力と費用がかからない雑草処理の方法は「塩をまくこと」です。
塩をまくと雑草は数日で枯れます。
塩を買うだけなら費用は安くて済みます。
海水を組んできて撒いても大丈夫です。
塩をまくと二度と雑草は生えなくなります。
ただし、二度と雑草が生えないということは、もし将来空き家の庭に草木を植えても生えてきません。
また、コンクリートや水道管を傷める原因になります。
隣家が近い場合は、雨で塩が隣家に流れることで隣家の植物も枯らしてしまうリスクがあります。
これは責任がとりきれません。
隣が農地だったら大損害です。
空き家対策特別措置法
空き家を管理せず放置しておくと危険な空き家である「特定空き家」に認定されて、ちゃんと管理しなさいと行政から勧告・命令が下ります。
まず、近隣から空き家の苦情が自治体に入ります。
自治体が現地調査をして、所有者にきちんと管理するよう「助言」が入ります。
それでも改善されなければ「勧告」、それでも放っておくと最後は「命令」となります。
空き家対策特別措置法で、自治体職員は空き家を調査をできるようになり、空き家の敷地内に侵入しても不法侵入にはなりません。
勧告を受けると「特定空き家」に認定され、固定資産税6分の1・都市計画税3分の1の特例が外されますので、固定資産税が6倍、都市計画税が3倍になります。
勧告を受けた内容を改善すると特定空き家ではなくなり、固定資産税もまた6分の1に戻ります。
「命令」は行政処分であり、命令に従わないことは違法行為で罰せられます。
命令に従わないと50万円以下の罰金と、名前住所の公表、行政代執行による空き家の維持管理費用や解体工事費用などの負担が命じられます。
名前と住所の公表は所有者がわからない場合に、市町村のホームページや広報誌で所有者に訴えかけるために公表されます。
特定空き家とは
空き家対策特別措置法の「特定空き家」の要件は、
- 倒壊の恐れがあるなどの危険な空き家
- 衛生上有害となっている空き家
- 地域の景観を乱している空き家
- 必要な適正管理がされていない空き家
の4つのいずれかに該当した場合です。
具体的には、
- 雨どいが垂れ下がっている
- 枝木が道路に散らかって通行の邪魔になっている
- 土砂が敷地外に流出している
- 垂木や軒天が腐朽している
- 立木や草が建物を覆うまで繁茂している
- 屋根からの落石が敷地外の道路の通行の邪魔になる
- 土台が腐朽している
- シロアリ被害にあっている
- ゴミが散乱しており虫、ネズミ、猫が住み着いている
- 外部から容易に空き家室内に侵入できる状態になっている
- 著しく建物が傾いている、倒壊の危険性がある
- 外壁が剥落している
- ネズミ、ハエ、蚊、ノミなどが大量発生している
などの状態が見られる空き家です。
ちなみに、行政代執行に消極的な自治体が多いのも事実です。
手続きが大変で面倒くさいこと、費用がかかること、行政代執行をしてもその費用を支払わない所有者も多いためです。
行政代執行をするときは、近隣住民の健康被害や命の危険があるときです。
地震がきたときに近隣住民がケガをするような恐れがあれば行政代執行の可能性があります。
全国の行政代執行でもっとも多いのがこの倒壊のリスク回避のためのものです。
シロアリやネズミの大量発生でも行政代執行が行われる可能性があります。
駆除業者への費用などが行政代執行されます。
空き家に火災保険は必要?
空き家に関するホームページに「近隣に迷惑がかからないように火災保険を掛けた方が良い」と書かれていることがありますが、現実は違います。
まず、保険会社が契約を受けてくれないことがほとんどです。
空き家は言い換えれば「管理者がいない家」です。
管理する人がいないということは、当然粗末に扱われます。
そうした家は火災や損壊のリスクが高いため、損害保険会社にとってリスクが大きいため、契約を断られることが多いのです。
仮に契約してくれたとしても、保険料が2割~4割高くなります。
正直、空き家に火災保険を掛ける必要はないと思います。
「失火責任法」という法律があります。
空き家から火災が発生してしまった場合は、出火元の空き家側に責任が問われないという法律です。
もちろん、故意に火をつければ放火罪になり犯罪です。
ですが、自然発火となった際は空き家の所有者は責任に問われないのです。
もし、空き家が火災になり隣家がもえてしまったら、お見舞金を20万円程度渡すのが常識ということは覚えておきましょう。
普通は隣家も火災保険に入っていますので、それで新しい家を建てることもできます。
空き家管理業者の中には、失火責任法を知らないか、知っていながらあえて顧客に伝えず「隣家に火災で迷惑がかかるといけないから、空き家に火災保険をかけましょう」と勧めてくる業者もいるため、だまされないように注意してください。
もちろん、失火責任法があるといっても、火事は起きないのが一番です。
隣家の中で火災で人が亡くなってしまったら、責任をとりきれません。
隣家にも大迷惑がかかりますし、火事の後の処理にも大きなお金がかかります。
また、空き家が火事になってしまい、残存物を取り除けば更地になります。
更地になれば固定資産税は6倍ですから、空き家が火災になるのは困ります。
空き家が火事にならないように最低限の対策はしておきましょう。
- 灯油タンクは空にしておく
- ガスは解約する
- プロパンガスはガス会社に引き取ってもらう
- 燃えやすい物の近くに、燃えやすい物を置かない
- 燃えやすい物を外に置かない
- 電気のブレーカーを落とす
- 電気を解約する
などの対処が必要です。
最低限これくらいはやっておきましょう。
空き家にくる請求書
空き家であっても支払いが発生するものがあります。
固定資産税はその代表でしょう。
それ以外にも水道光熱費やNHKがあります。
これらは解約してしまうのが良いでしょう。
ただし、空き家を維持管理していく上で、電気、ガス、水道の契約を続けておいた方が良いこともあります。
例えば、定期的に空き家に通って掃除をするときは、電気、ガス、水道がないと掃除は難しいでしょう。
冬場はガスがないと地獄です。
自治会費の請求がくることもありますが、これは断りましょう。
自治会や町内会は任意団体です、強制ではありません。
地方ほどぐちゃぐちゃと言ってくる自治会がありますが、自治会は任意団体であること、それでもお金を払うように言ってくるのはもはやカツアゲのようなものです。
きっぱりと断って大丈夫です。
マンション空き家の管理費と修繕積立金は強制
マンション空き家の場合は、管理費と修繕積立金の支払いは強制です。
必ず払わなければいけません。
これは区分所有法で支払いが義務付けられています。
マンション管理費や修繕積立金を払わないと、マンションを売却できないこともあるので注意しましょう。
空き家所有者の親が認知症になったら
空き家の所有者が親で、その親が認知症になり介護施設に入ったとしましょう。
こうなってしまうと、空き家を売却することはできません。
所有者の財産を勝手に処分することはできないからです。
そのため、空き家は「維持管理するしかない」ということです。
「後見人がつけば売却できるのでは?」という人がいますが、後見人では売却はできません。
後見人の使命は「所有者の財産の保持」だからです。
財産の保持が目的ですから、空き家を売却することはそれに反します。
後見人が家庭裁判所に申し出て「売却したい」と言ってもダメです。
家庭裁判所が売却を認めるのは、所有者本人が認知症になる前から売却の意思があり、それを証明できる場合です。
これはほぼ無理です。
そのため、もし空き家を売却する意思があるのであれば事前の対策が必要です。
それができないと「何が何でも空き家を維持管理するしかない」ということで、管理をする人には大きな負担になってしまいます。
事前の対策としてもっとも有効なのは「家族信託」です。
家族信託は文字通り「家族に財産を託す」という制度です。
例えば「実家の所有者である親が認知症になったら、子供に実家を託し、実家を売却することもできる」とあらかじめ信託契約をしておけば、親が認知症になってしまっても空き家を売却できます。
ただし、この家族信託は親が認知症になる前に信託契約を結んでおく必要があります。
空き家を維持管理したくない人は、事前に対策しておきましょう。
家族信託の相談は司法書士にするのが一般的です。
ただし、司法書士で家族信託の実務をやったことがあるのは、ほんの一握りのため注意してください。
2つの空き家を維持管理する夫婦
結婚している人であれば、それぞれに実家があることが多く、空き家問題は2倍になります。
中には空き家の管理や、相続をめぐって兄弟間で争いになってしまうこともあります。
言い方は悪いですが「空き家の押し付け合い」になることも多いです。
結婚している人であれば、こうした空き家問題が2つということです。
夫と妻のそれぞれの親の年齢が近いと、空き家問題が2つ同時に発生するリスクもあります。
固定資産税も空き家の修繕費用、管理の手間やそれに割く時間や交通費などのお金も2倍です。
空き家を相続する層は子育てが終わっている人も多く「これからの人生が楽しみ」「夫婦で旅行にも行きたいぞ」と思っている矢先に、こうした空き家問題でお金がかかり、貴重な休日もお金も空き家管理に使わなければならない事例が多いです。
また、意外と盲点なのが、祖父母の家です。
親を経由して孫にまで祖父母の空き家が回ってくることがあります。
こうなると空き家問題は4倍ということに…。
空き家管理会社の費用や料金相場
空き家の管理は3年が限界です。
実家の空き家を相続したばかりのころは「思い出の詰まった実家だし、大変そうだけど何とか維持していこう」と考えるものですが、続いても3年です。
金銭的な限界、精神的な限界、肉体的な限界がやってきます。
そうなると、空き家管理会社、代行サービス会社に管理を頼むことになります。
空き家管理会社のサービス内容
空き家管理会社の一般的なサービス内容をご紹介します。
- 掃除
- 窓の開け閉め
- 庭の草むしり
- 雪かき
- 水道の蛇口から水を流す
- 郵便物の回収
となっています。
空き家管理会社に注意
空き家管理業者はネットで簡単に検索できますが、悪徳な業者もいるので注意してください。
月額管理費用の相場は5000~10000円くらいです。
※中には13000円くらいのところもあります。
空き家管理会社とは、空き家の所有者が空き家の掃除、窓の開け閉め、草むしり、雪かきなどをし続けることが困難なため、そうした空き家の維持管理を代行してくれる業者です。
一見するとありがたいサービスに見えますが、デメリットは「本当に仕事をしているかわかりにくい」ということです。
例えば、窓の開け閉めによる空気の入れ替えは、正直やらなくてもわかりませんよね。
掃除も業者が「やりました」と言えばそれまでです。
空き家の所有者が空き家を見に来ないのをいいことに、大して仕事もしないでお金だけをとっている悪質な業者もいるので注意してください。
また、費用が高い業者も注意です。
費用が高いなら何か理由が必要ですので、他社と比較してなぜ高いのか必ず確認しましょう。
年に2回程度しか空き家を巡回しない業者もいます。
中小の空き家管理サービスは、業務内容がマニュアル化されておらず、管理サービスが雑なこともあるので注意してください。
空き家管理サービスを提供している会社は、空き家管理が専業ではなく、本業がある中でサイドのサービスとして空き家管理をしていることが多いです。
不動産会社、セキュリティ会社、非営利組織などです。
非営利組織は比較的管理費が安いが、サービス内容が薄いところもあったり、実態のない組織もあるので注意が必要です。
民間(不動産会社やセキュリティ会社)の方がサービスは上だが、費用が高いです。
空き家管理サービスの業界は新しい業界のため「空き家管理とは?」の基準があいまいです。
各社によって全く内容と費用が違うこともあり、比較しにくいこともあります。
空き家管理の実績が少ない業者でも始められてしまうビジネスのため、実績のない業者も多いですから注意してください。
ホームページに具体的にどのような管理サービスをしているのか説明があるかどうか、契約書があるか、契約書の内容が乏しくないか、契約書に不備がないかなど、契約する直前まで疑ってかかりましょう。
質問に的確に答えられる業者かもしっかり見ましょう。
質問にあいまいに答えたり、もっともらしいことを言って結局何を言っているのかわからない業者は怪しいです。
管理戸数実績も聞いておきましょう。
実は10戸くらいしか管理していない、実績が少ない業者もまだまだ多いです。
これではノウハウはなかなかたまりません。
実績が少ない会社とは契約しない方が良いでしょう。
一般社団法人やNPO法人でもぼったくりなところや、ノウハウがない、実際は管理しない、サービス内容が薄いところも多いため、気を付けてください。
空き家の相続
空き家を相続する場合も事前対策が必要です。
- 誰が空き家を相続するのか?(1人が相続するのか?家族みんなで相続するのか?)
- 誰が空き家を管理するのか?
- 相続税はかかるのか?
- 相続税は払えるのか?
など、事前に対策を打っておかないと面倒なことになります。
空き家の相続については、一般社団法人相続ファシリテーター協会の「空き家の相続の問題!売却や活用の税金控除や放棄後の管理義務」が参考になるので、読んでみてください(^^)
まとめ
空き家の維持管理は大変です。
固定資産税や、掃除や草刈りの労力、空き家までの往復の交通費と時間など、大変な手間とお金がかかります。
空き家の維持管理を自分でやる人でも、約3年で限界がやってきます。
空き家を放置するとどんどん荒廃し、空き家対策特別措置法による「特定空き家」に認定されて、固定資産税は6倍、都市計画税は3倍に跳ね上がります。
こうした事態を避けるために、空き家管理会社に管理代行サービスを依頼する人もいますが、この業界はまだ未成熟の業界で、悪徳業者もいます。
空き家の維持管理は慎重に進めていきましょう。
あなたの参考になればうれしいです(^^)